セミナー

2019年度第2回EPOC環境経営先進セミナー
「土壌汚染対策法改正の概要とその対応について」


概要

 環境分野に限らず、コンプライアンスは企業経営の基本です。中でも「法令違反の発生」はその企業の価値を大きく毀損し、事業活動に様々な面で悪影響を及ぼします。本セミナーでは2019年4月より施行された改正土壌汚染対策法をテーマとして取り上げ、具体的な改正内容と企業に要求される対応について、二つの講演を通じて情報提供しました。
 講演Tでは土壌汚染対策法の管轄官庁である環境省様より、今回の改正の背景や具体的な改正内容についてご講演いただきました。講演Uでは、汚染の調査と修復を請け負っておられる地盤環境エンジニアリング株式会社様より、今回の改正に関連して企業として知っておくべきポイントについてご講演いただきました。いずれの講演も改正点の中で影響の大きな部分を重点的に解説いただき、有意義なセミナーとなりました。

開催日時:2019年12月17日(火) 14:00〜16:50
開催場所:マザックアートプラザ4F会議室(名古屋市東区葵1−19−30)
参加者 :75名

プログラム

◆14:00〜14:05 開会挨拶
◆14:05〜15:20 【講演T】
「改正土壌汚染対策法の概要について」
 講師:水原 健介 氏
 (環境省 水・大気環境局 土壌環境課 課長補佐)

 土対法改正の経緯や改正の概要、関連する政令・省令等について概略を紹介いただいたのち、改正内容の詳細について解説いただきました。
 「調査関係」については、有害物質使用特定施設に係る土地の形質の変更に関して、届出の規模要件が強化(旧法:3,000m以上→900m以上に改正)されたことや、汚染のおそれの由来に応じた調査の実施の明確化、土壌調査の試料採取等の対象とする深さの限定などについて説明いただきました。「要措置区域関係」については、汚染除去等計画の提出・報告義務の創設や、汚染除去の技術的基準、要措置区域における措置等の実施方法の規定などについて説明いただきました。また「形質変更時要届出区域関係」については、自然由来又は埋立土砂由来の汚染でかつ健康被害のおそれがない土地の形質変更は1年ごとの事後届出で良いとする特例制度(届出の例外となる区域の新設)や、形質の変更の施工方法の基準の見直しについて説明いただきました。そのほかでは、汚染土壌の処理の委託の例外や、自然由来の汚染土壌の有効利用(盛土構造物)について解説いただきました。
 限られた時間での講演でしたが、多岐にわたる内容について図表を交えて解りやすく解説いただき、環境管理や施設部門の実務担当者にとって参考となる講演となりました。

◆15:20〜15:35 休憩
◆15:35〜16:50 【講演U】
「改正土壌汚染対策法 企業が押さえておきたいポイント」
 講師:深田 園子 氏
 (地盤環境エンジニアリング(株)代表取締役)

 今回の土対法改正に関連して事業者が知っておくべき事項の中から、下記の項目にポイントを絞って解説いただきました。
 「調査義務の一時的免除」については、免除の条件や免除を受ける際の手順、調査義務の対象となる土地の条件、対象地の範囲について様々な事例(フェンスや公道の有無など)を基に考え方を解説いただきました。「土地の形質の変更を行う際の手続き」については、届出が必要となる形質の変更面積や届出者、届出の時期などについて説明いただき、特に形質の変更面積については、その考え方について事例やQ&Aを交えて詳細に解説いただきました。また、届出の手続きおよび届出に合わせた土壌汚染状況調査の結果報告について説明いただきました。「試料採取等の対象とする深さの限定」については、土壌汚染の状況調査において、試料採取の深さが旧法の地表より10m(一律)から、掘削深さに応じて限定できること、深部の自然由来の汚染は調査・対策が不要となることなどについて説明いただきました。「第一種特定有害物質の調査方法の変更点」については、土壌ガス検出時のボーリング調査での試料採取対象物質の増加や、土壌汚染の有無は検出範囲ごとに代表地点でのボーリング調査結果を基に評価することなどを解説いただきました。
 全体を通じて、ケース別の事例を交えて具体的な解説をいただいたことから、実務担当者に解り易い講演となり、参加者からのアンケートでも好評を得ることができました。

◆16:50  閉会挨拶
以上