交流会

2020愛知環境賞表彰式実施報告
「海洋プラスチック汚染の現状と将来」

【はじめに】

EPOCでは、愛知県より受託しました『愛知環境賞』の表彰式を開催致いたしました。
『愛知環境賞』とは、資源循環や環境負荷の低減を目的とした、先駆的で効果的な<技術・事業・活動・教育>の事例を、企業、団体及び県民から募集し、優れた事例に対する表彰を行うとともに、広く紹介することによって、新しい生産スタイルや生活スタイルを文化として社会に根付かせ、資源循環型社会の形成を促進するもので、本年は43件の応募を頂きました。
当日は、愛知環境賞表彰式、「海洋プラスチック汚染の現状と将来」と題した講演会、第32回交流会(パネル展示による意見交換会)が開催され、受賞者をはじめその他参加者の方々にご交流頂きました。

日時
:2020年2月12日(水曜日) 15時15分~19時
会場
:ローズコートホテル 4階「ローズルーム」、3階「アプローズ」
主催
:愛知県
共催
:中日新聞社、環境パートナーシップ・CLUB(EPOC)
後援
:経済産業省中部経済産業局、環境省中部地方環境事務所、
名古屋市、一般社団法人中部経済連合会、名古屋商工会議所
参加者数
:289名

【プログラム】

    • 15時15分~15時25分

    主催者挨拶

    愛知県知事 大村 秀章

    EPOC会長(東海旅客鉄道(株)代表取締役会長) 柘植 康英

    【愛知県知事】
    【EPOC会長】
    • 15時25分~16時

    「2020愛知環境賞」表彰式

    【金賞】

    受賞者

    東邦ガス株式会社

    テーマ

    スマートタウン「みなとアクルス」の開発

    受賞のポイント

    再生可能エネルギーや未利用エネルギーを活用した独自の熱電併給システムを構築するとともにエリア全体のエネルギーを最適管理することにより、環境に配慮した先進的なまちづくりを実現したことは、環境負荷の低減と低炭素社会の形成に大きく貢献するものと高く評価された。

    【銀賞】

    受賞者

    愛知製鋼株式会社

    テーマ

    製鋼スラグを独自技術で改質した 低粉じん・繰り返し使用可能なショットブラスト材(研削材)

    受賞のポイント

    用途が限られていた製鋼スラグを独自の技術で改質・成形することで、発生する粉じん量が少なく繰り返し使用可能なショットブラスト材を開発したことは、環境負荷の低減と資源循環型社会の形成に大きく貢献するものと高く評価された。

    【銀賞】

    受賞者

    日本モウルド工業株式会社

    テーマ

    パルプモウルドのパイオニアとしての脱プラスチックへの貢献
    ~紙製緩衝材、超軽量パレット「ロジパレ」の製造~

    受賞のポイント

    古紙を原料としたパルプモウルドのパイオニア企業として製造技術の確立や新製品の開発により業界をけん引するとともに、日本の古紙利用率の向上に寄与したことは、環境負荷の低減と資源循環型社会の形成に大きく貢献するものと高く評価された。

    【銅賞】

    受賞者

    名古屋大学 都市の木質化プロジェクト

    錦二丁目まちづくり協議会・都市の木質化プロジェクト

    MOKKO 木材・木造建築物学生会

    テーマ

    森-街連携による都市の木質化プロジェクトとその成果を活用したESD活動

    受賞のポイント

    都市部での木材利用を通じて、地域や世代を超えた様々な人が連携した森づくり・人づくり・街づくりに取り組んだことは、環境意識の向上や地域の環境活動の推進に大きく貢献するものと高く評価された。

    【中日新聞社賞】

    受賞者

    株式会社渥美フーズ

    テーマ

    ごみを出さずに買い物ができるゼロ・ウェイスト・スーパー
    ~21世紀に必要とされるモデル店舗を目指して~

    受賞のポイント

    リユース容器による買い物や使い捨てプラスチック容器を使用しない対面式販売など、ゴミを出さない独自の買い物スタイルを確立し、消費者とともに取り組んだことは、環境負荷の低減と地域の環境活動の推進に大きく貢献するものと評価された。

    【名古屋市長賞】

    受賞者

    株式会社小桝屋

    テーマ

    独自技術による廃棄物の高付加価値化事業システム

    受賞のポイント

    独自の技術により食品廃棄物の性状に応じた肥料・飼料・メタン発酵助剤を製造し、受け入れた食品廃棄物すべてを再生品として販売する地域資源循環システムを構築したことは、環境負荷の低減と資源循環型社会の形成に大きく貢献するものと評価された。

    【優秀賞】

    受賞者

    太平産業株式会社

    テーマ

    IoT技術を活用した効率的な工程振分け及び適正評価による安全・確実な建設汚泥の中間処理の実現

    受賞のポイント

    IoT技術を用いて建設汚泥の運搬から処理までの工程を見える化するとともに、汚泥の性状に応じた最適な処理工程の振り分けを行うシステムを構築したことは、環境負荷の低減と資源循環型社会の形成に大きく貢献するものと評価された。

    【優秀賞】

    受賞者

    タイム技研株式会社

    大口町

    テーマ

    「21世紀創造の森」の活動から生まれた住民・企業・行政の連携による保育園づくりと木育の推進

    受賞のポイント

    地域住民と連携して間伐材を切り出すなど、産官民が一体となった保育園舎づくりを実施するとともに、園児が森や木に触れ合う活動に継続して取り組んだことは、地域の環境保全に対する意識の向上と地域活性化に大きく貢献するものと評価された。

    【優秀賞】

    受賞者

    豊田鉃工株式会社

    テーマ

    超高張力鋼板成形技術向上による自動車部品軽量化のグローバル展開

    受賞のポイント

    加工が困難な超高張力鋼板を冷間プレスで成形する独自の技術を開発し、鋼板の加熱に使用するエネルギーを削減するとともに、自動車の軽量化による燃費向上に寄与したことは、環境負荷の低減と低炭素社会の形成に大きく貢献するものと評価された。

    【優秀賞】

    受賞者

    日東工業株式会社

    テーマ

    工場内の冷却水を有効利用した省エネルギーで省メンテナンスの制御盤冷却装置「Eクール」

    受賞のポイント

    独自の漏水対策技術により、既設の冷却水を有効利用した電気使用量が少なく工場内に熱を排出しない制御盤用冷却装置を開発し、二酸化炭素排出量削減に寄与したことは、環境負荷の低減と低炭素社会の形成に大きく貢献するものと評価された。

    【優秀賞】

    受賞者

    一般社団法人NIPPON紙おむつリサイクル推進協会

    テーマ

    使用済み紙おむつリサイクルにおける粉砕摩擦乾燥装置の開発協力と普及事業

    受賞のポイント

    使用済み紙おむつのリサイクル体制の確立に向けて、会員企業と連携して新技術の開発や普及活動を行ったことは、環境負荷の低減と資源循環型社会の形成に大きく貢献するものと評価された。

    【優秀賞】

    受賞者

    日本エンジン株式会社

    テーマ

    自動車、空調機等のエンジンのリビルト(再生)事業

    受賞のポイント

    使用済みエンジンを独自の技術で新品同様の機能まで再生し再利用するリビルト事業を業界に先駆けて実施し、廃棄物やエネルギー使用量の削減に寄与したことは、低炭素社会及び資源循環型社会の形成に大きく貢献するものと評価された。

    【優秀賞】

    受賞者

    半田こどもエコクラブ

    テーマ

    自然環境を見つめ、生き物から学ぶことのできる感性を育て、子どもたちの心を「やさしく」「豊か」にする活動

    受賞のポイント

    地域特有の自然を生かした環境教育を長年にわたり地元自治体や企業と連携して取り組み、次世代を担う子どもたちの環境意識の向上に尽力したことは、環境活動の推進と地域活性化に大きく貢献するものと評価された。

    【優秀賞】

    受賞者

    フタバ産業株式会社

    テーマ

    暖房用排気ガスを再利用するエコでクリーンなハウス栽培用CO2貯留・供給装置「agleaf®(アグリーフ)」

    受賞のポイント

    自動車の排気ガス浄化技術を応用し、重油燃焼式暖房機から排出される二酸化炭素を貯留し農業用ハウスに供給する業界初の装置を開発し、二酸化炭素排出量の削減に寄与したことは、環境負荷の低減と低炭素社会の形成に大きく貢献するものと評価された。

    【優秀賞】

    受賞者

    松山毛織株式会社

    テーマ

    農業分野での脱樹脂化の一助となる天然繊維製資材(コットンネット)の実用化

    受賞のポイント

    独自の繊維製品製造技術と防カビ技術を組み合わせた天然繊維製の家畜用飼料梱包ネットを開発し、使い捨てされる農業用プラスチックの削減に取り組んだことは、環境負荷の低減と資源循環型社会の形成に大きく貢献するものと評価された。

    【優秀賞】

    受賞者

    株式会社丸繁製菓

    テーマ

    「食器もパクパク!」 美味しい脱プラの事業化

    受賞のポイント

    独自の製造技術により耐水性などを備えたおいしく食べられる食器を開発し、使い捨てされるプラスチック製容器の使用量削減に取り組んだことは、環境負荷の低減と資源循環型社会の形成に大きく貢献するものと評価された。

    • 16時15分~17時15分

    【講演会】

    「海洋プラスチック汚染の現状と将来」

    九州大学 応用力学研究所 教授 磯辺 篤彦 氏

    講演会の概要

    海洋プラスチック汚染の現状と将来についてご講演いただきました。冒頭、プラスチックごみで溢れた国内海岸の写真から始まり、続けて、海洋観測ロボットのデータによるシミュレーション結果や航行調査の結果等から、ごみの発生源が東・東南アジアに遍在し、汚染が北半球で進行している状況を分かりやすくご解説いただきました。また、海洋生物が取り込んだマイクロプラスチックの有害性や生態系への悪影響の懸念、深海や微細なプラスチックの行方がトレースできていない等、科学的に解明されていない問題が多く残ることもご説明いただき、聴講者の理解が深まりました。

    磯辺先生からは、プラスチックの減量が必要な時代になること、利用の恩恵を受け続けるためには、例えば細片化しない、汚染物質を吸着しないなどのプラスチックが技術開発されることや、限界に近いと考えられる回収率を飛躍的に高める社会の仕組みを構築することなど、将来の解決に向けた示唆もいただき、たいへん有意義な講演会となりました。

    • 17時30分~19時

    【第32回EPOC交流会】

    EPOC意見交流会では、愛知環境賞受賞事例16件の概要をまとめたパネルが設置され、受賞企業・団体ご担当者の方から直接内容についてご説明をいただきました。ご参加いただいた方々には、受賞事例の取組みついて深くご理解いただくと共に、受賞者及び多数の参加者の方々が交流を深められました。