視察・調査

2010年度 生物多様性保全地域視察

はじめに

生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が2010年10月11日より、愛知・名古屋で開催されるなど、ますます生物多様性への取り組みが重要視される社会になりつつあります。そこでEPOCでは、生物多様性に関わる愛知県の代表的な自然保全地である藤前干潟と海上の森の視察を実施致しました。現地で保全に関わっている方に案内をしていただき、生物多様性保全への理解をより一層深めていただきました。


開催日時 平成22年9月24日(金曜)
見学先 [1]藤前干潟
[2]海上の森
参加者 26名



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    [1]藤前干潟見学<名古屋市港区>

    【概説】

    藤前干潟は、名古屋港の臨海工業開発の中で残された、日本最大級の渡り鳥渡来地です。干潟には鳥たちの餌となるカニやゴカイや小魚がたくさんいて、渡り鳥たちの休息と栄養補給の大切な中継地になっており、ラムサール条約登録湿地です。
    最初に稲永にある野鳥観察センターにて干潟に滞在している水鳥(シギ、チドリ、ミサゴなど)を望遠鏡で観察しました。その後、対岸の活動センターにて「藤前干潟を守る会」の方々に、藤前干潟の歴史や重要性、生息する生物の生態系について説明していただき、藤前干潟の生物多様性を学ぶことができました。また、当日の干潮の時刻(12時18分)に近くなると干潟が少し現われ堤防から見ることができました。


    • ・参加者の方から以下のような感想をいただきました。

    「藤前活動センターでのご説明や展示がわかりやすく、勉強になりました。」

    「干潟に住む生き物の生態や渡り鳥に関する情報を丁寧に教えていただき、新たな発見もあってとても良かったです。」

    藤前干潟見学の様子

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    [2]海上の森散策<愛知県 長久手町>

    【概説】

    海上の森は、豊かな森林と農地、水辺地等があり、様々な野生生物が生息し、生育する多様な自然環境を有しています。かつて焼き物の製造のための薪の採取などにより、その一部が樹木の乏しい荒廃地となったこともありますが、多くの先人の努力と自然の力によりその緑が回復された歴史を持ちます。

    バスの駐車場から、里山の風景が残された「里山サテライト」や「海上砂防池」まで徒歩で移動しました。その間、インタープリターの方から海上の森に生息する昆虫や動物、植物についてお話を聞きました。例えば、道の途中には夜間イノシシが荒らした跡や、害虫によって枯れてしまった木々などがあり、それらについて説明してもらいました。自然と触れあうことにより自然との共生への理解を深めることができました。


    • ・参加者の方から以下のような感想をいだだきました

    「人が手を加えた里山の森、手が入らなくなった荒廃と、稲づくりの復活といろんな風景が見学できた。」

    「身近にこんな素晴らしい自然が有り、これを守ってゆく事の重要性を良く理解出来た。」

    海上の森散策の様子