研究会

2014年度 第5回循環ビジネス創出会議 (ビジネスセミナー)
「公共施設等を活用した循環ビジネスの展望」

はじめに

昨今、エネルギーの地産地消という考え方のもと、下水処理場や廃棄物処理施設からの有機汚泥や生ごみなどの地域資源から再生可能エネルギーを生み出す循環ビジネスが注目されています。そこで、今回のビジネスセミナーは、「公共施設等を活用した循環ビジネスの展望」をテーマとしています。セミナーでは、豊橋技術科学大学 国際交流センター長 兼 大学院工学研究科 教授の大門裕之氏によるご講演と、先進企業3社による事例紹介、及び今後のビジネスの方向性と可能性を検討するパネルディスカッションを行いました。


開催日時 平成27年3月4日(水曜) 13時30分〜16時30分
開催場所 愛知県産業労働センター 「ウインクあいち」 5階 小ホール2
参加者 95名

プログラム

13時30分〜13時35分 開会挨拶
愛知県環境部資源循環推進監 岩田 信吾氏


13時35分〜14時15分 基調講演
「豊川バイオマスパーク構想の状況〜公共施設を活用した資源循環型モデル」
豊橋技術科学大学 国際交流センター長 兼 大学院工学研究科 教授 大門 裕之氏


14時15分〜14時40分 事例紹介1
「横根バイオガス発電施設の事業概要について」
オオブユニティ株式会社 廃棄物事業部 課長 藤崎 功太郎氏


14時40分〜15時00分 事例紹介2
「廃棄物からの炭化物製造・リサイクル事業」
メタウォーター株式会社 サービスソリューション本部 PPP事業部
プロジェクト運営部 部長 小泉 一博氏


15時00分〜15時20分 事例紹介3
「グリーン水素の製造事業のご紹介」
豊田通商株式会社 新規事業開発部 次世代インフラ事業室 室長 羽田 裕氏


15時30分〜16時30分 パネルディスカッション


    • 基調講演

    「豊川バイオマスパーク構想の状況〜公共施設を活用した資源循環型モデル」
    豊橋技術科学大学 国際交流センター長 兼 大学院工学研究科 教授 大門 裕之氏


    平成23年度から27年度にかけて取り組まれている、豊川のバイオマスパーク構想の状況についてご説明いただきました。本研究は、PFI手法を用いた事業化に向け、「処理ではなく生産、廃棄物ではなく減量」という新しい観点を持ち、多くのステークホルダーと調整を重ね、協力を得ることでプロジェクトを推進されてきました。国内初の取り組み事項として、バイオガス中のCO2添加による海藻養殖実証試験、廃棄CO2施肥による植物工場(トマト)、下水処理水を利用した水耕栽培による食物生産(海藻)の事例を紹介頂きました。各要素技術開発、新しい社会システムのあり方や地域活性化の推進に繋がる素晴らしい取り組みで、それらの推進には、国、県、市、企業との協力が重要であると認識することができました。


    • 事例紹介1

    「横根バイオガス発電施設の事業概要について」
    オオブユニティ株式会社 廃棄物事業部 課長 藤崎 功太郎氏


    バイオガス発電施設の事業化において、事業化までの経緯や概要、課題等について事例紹介いただきました。不適物の混入や、腐敗等により性状変化につよいメタン発酵技術を採用することによって、分別や管理によりコスト増を抑え、事業開始に至ることができた経緯を理解することができました。また、今後の課題として、リサイクル費用の格差是正や、家庭系ごみの分別収集方法の検討など、各自治体との協力体制の構築が重要であると認識することができました。


    • 事例紹介2

    「廃棄物からの炭化物製造・リサイクル事業」
    メタウォーター株式会社 サービスソリューション本部 PPP事業部
    プロジェクト運営部 部長 小泉 一博氏


    廃棄物からの炭化製造・リサイクル事業として、「電気炉製鋼所のコークス代替利用」と「火力発電の石炭代用利用」の二つの事例についてご紹介いただきました。それぞれの事業化にあたり、官民と民間での役割分担の明確化や、民間共同事業者からの惜しみないノウハウ提供等官民間でのコミュニケーションを密にとり、連携して事業推進することが従業であると理解することができました。


    • 事例紹介3

    「グリーン水素の製造事業のご紹介」
    豊田通商株式会社 新規事業開発部 次世代インフラ事業室 室長 羽田 裕氏


    地方における水素利用拡大のモデルケースとして実施した福岡市での下水汚泥を活用した水素製造事象事業についてご紹介いただきました。当該事業においての課題や解決策をご説明いただき、事業推進にあたり、省庁との交渉・調整には、地元自治体からの支援が必要不可欠であり、連携を密にしておくことが鍵であると理解することができました。


    • パネルディスカッション

    コーディネーター
    豊橋技術科学大学 国際交流センター長 兼 大学院工学研究科 教授 大門 裕之氏
    パネリスト
    オオブユニティ株式会社 廃棄物事業部 課長 藤崎 功太郎氏
    メタウォーター株式会社 サービスソリューション本部 PPP事業部
     プロジェクト運営部 部長 小泉 一博氏

    豊田通商株式会社 新規事業開発部 次世代インフラ事業室 室長 羽田 裕氏
    テーマ
    「公共施設等を活用した循環ビジネスの展望」


    パネルディスカッションでは、事案の事業化にあたり直面したコスト削減などの課題解決について様々なご意見を頂戴し、また会場からもビジネス創出に繋がる活発な質疑を通して有意義な議論ができ、今回の「地域資源から再生可能エネルギーを生み出す」というテーマに対して、関心の高さを伺うことが出来ました。
    まとめとして、事業推進に向け官民連携する中でも幅広い付き合いをすることや、COP21で決定されるCO2削減目標にも注目が集まることから、短期的または長期的に事業推進すべきかの見極めが重要であり、様々な企業が幅広い事業を行い全体的にレベルアップできれば、またそれが実現できる仕組みを作り上げていければ、循環型社会の実現につながることだろうと締めくくられました。


以上