研究会

2013年度 第2回循環ビジネス創出会議 (ビジネスセミナー)
「都市鉱山からのレアメタル回収と新たな循環ビジネスについて」

はじめに

EPOCでは、「あいちエコタウンプラン」を推進している愛知県と連携し、資源循環型社会の形成を促進することを目的として「循環ビジネス創出会議」を開催し広く社会の資源循環を推進しています。
近年、次世代自動車、パソコン、携帯電話等の生産に不可欠なレアメタルの価格と供給の安定化は重要課題となっています。一方で使用済みの工業製品・自動車・家電製品等は、鉄・アルミなどの有用金属類並びに希少金属類であるレアメタルが含まれている事から都市鉱山と呼ばれ、その有効活用の為、リサイクルシステムの確立が求められています。これら都市鉱山のうち、家電製品の再資源化を促進するため、2013年4月1日に「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」が施行され、2013年6月28日に14社が、この法律に基づく事業計画の認定を受けました(うち愛知県内からは5社)。
そこで今回は、レアメタル資源再生技術研究会会長の伊藤秀章氏、中部経済産業局 環境・リサイクル課 課長補佐 松永雅子氏の両氏より、レアメタルリサイクルの最新動向についてご講演頂き、県内の認定事業者2社より事業をご紹介頂くとともに今後の循環ビジネスの方向性と可能性についてパネルディスカッション形式で検討しました。


開催日時 平成25年8月22日(木曜) 13時30分〜16時30分
開催場所 愛知県産業労働センター 「ウインクあいち」 902会議室
参加者 94名

プログラム

13時30分〜13時35分 開会挨拶
愛知県環境部資源循環推進課 課長 植家仁氏


13時35分〜14時15分 基調講演
「都市鉱山からのレアメタル回収と資源循環ビジネス」
レアメタル資源再生技術研究会 会長 伊藤秀章氏


14時15分〜14時40分 講演
「中部地域における小型家電回収・リサイクルの推進について」
中部経済産業局 環境・リサイクル課 課長補佐 松永雅子氏


14時40分〜15時 事例紹介1
「アビヅにおける小型家電リサイクルの取り組み
〜自治体清掃事業所でのピックアップ回収と高度破砕選別〜」
株式会社アビヅ 金属プラスチックリサイクル事業部 営業課 係長 田畑誠氏


15時〜15時20分 事例紹介2
「都市鉱山開拓のパイオニアとして」
木村メタル産業株式会社 マテリアルリサイクル営業部 部長 竹内康孝氏


15時30分〜16時30分 パネルディスカッション


    • 基調講演

    「都市鉱山からのレアメタル回収と資源循環ビジネス」
    レアメタル資源再生技術研究会 会長 伊藤秀章氏


    都市鉱山からの資源リサイクル、家電製品の収集・分別システム、大型及び小型家電製品のリサイクルシステムの相違についてご説明頂きました。さらに、レアメタルリサイクルにおいて、極めて重要とされる分離・分別、及び抽出技術の処理方法やリサイクル工程等について専門的にご説明頂きました。
    また、今後のレアメタル循環ビジネス推進のために、レアメタルの安全で高効率なリサイクルのシステムの構築について、さらに「レアメタル資源再生技術研究会」 のレアメタル資源再生コンビナート構想についてもご説明頂きました。


    • 講演

    「中部地域における小型家電回収・リサイクルの推進について」
    中部経済産業局 環境・リサイクル課 課長補佐 松永雅子氏


    小型家電リサイクル法の概要及び自治体における小型家電リサイクルの現状や課題及び中部地域における小型家電リサイクルの取組についてご説明頂きました。なかでも平成21年度以降、中部経済産業局が取り組んでいる、従来の自治体の廃棄物処理業務をベースに新たにコストをかけない有用金属リサイクルである「中部モデル」や自治体が取り組むにあたっての準備、メリット、実現性、先進事例、管内の認定事業者(リサイクル業者)を中心にご紹介いただきました。


    • 事例紹介1

    「アビヅにおける小型家電リサイクルの取り組み
    〜自治体清掃事業所でのピックアップ回収と高度破砕選別〜」
    株式会社アビヅ 金属プラスチックリサイクル事業部 営業課 係長 田畑誠氏


    シュレッダーから排出されるシュレッダーダストをそのまま埋立て処理するのでなく、分離・分別を繰り返すことにより、埋立処理されるダストを極限まで削減する同社のリサイクルシステムである「アビヅリサイクルマネジメントシステム」 そのシステムに基いて各材料ごとに導入されている選別工程や設備についてご紹介頂きました。また、今年、小型家電リサイクル認定事業者に選定された同社における小型家電リサイクル事例として清掃事業所における既存のインフラを利用した効率のよいピックアップ回収、搬入・事前選別、リサイクル処理フロー、マテリアルバランスなどについてご説明頂きました。


    • 事例紹介2

    「都市鉱山開拓のパイオニアとして」
    木村メタル産業株式会社 マテリアルリサイクル営業部 部長 竹内康孝氏


    都市鉱山開拓のパイオニアとしての効果的にリユース、リサイクルをすすめている同社の最新鋭のリサイクルプラント設備やレアメタルリサイクル事業には欠かせない万全なセキュリティー体制、貴金属やレアメタルの含有量が評価できる分析装置についてご説明いただきました。また、今年、小型家電リサイクル認定事業者に選定された同社における入荷・分別から選別工程・出荷までの小型家電リサイクル制度による処理フロー、レアアース回収の取組み及びリサイクル事業の今後の課題として、効果的な回収によるコストの削減や物量の確保などについてご説明いただきました。


    • パネルディスカッション

    コーディネーター
    レアメタル資源再生技術研究会 会長 伊藤秀章氏
    パネリスト
    株式会社アビヅ 金属プラスチックリサイクル事業部 営業課 係長 田畑誠氏
    木村メタル産業株式会社 マテリアルリサイクル営業部 部長 竹内康孝氏
    愛知県環境部資源循環推進課 課長補佐 岡田英幸氏
    テーマ
    「都市鉱山からのレアメタル回収と新たな循環ビジネスについて」


    パネルディスカッションでは、対象となる小型家電の回収システムや自治体の取組みについて参加者の皆様から質問を頂戴し、コーディネーター、パネリストの方から適切なご回答を頂き、有意義な議論をすることができました。


    本県内における、「都市鉱山からのレアメタル回収と新たな循環ビジネスについて」の今後の方向性と可能性については、回収システムの確立やコストの削減等の大きな課題が残っているものの今後の展望については大きな期待が寄せられました。


以上